健康NEWS 2022年07月 B面 =西平先生の医療雑感=

病弱だった少年は、シュバイツアーに憧れ「優秀な医者というより、良い医者になろう」と思いました。
これまでインドネシアでの医療従事、沖縄(宜野湾市)での開業医医院を続け、多くの人達に頼りにされ、身近な存在で親しまれている。西平先生の物事の道理の道筋をたてた雑感論を数回にわたって連載をしていきます。先生には、これまでも健康講演会等で、ボランティアでつきしろ自治会に積極的に協力をしていただきました。そして特定健診の受診率向上に貢献されお馴染みの先生です。今後また健康雑感論の連載をお願いいたしました。

  • 酒!

     酒、お酒、う~ん、楽しい雰囲気がある。

    今回は皆には悪いが、酒が身体に与える影響の話を する。
    酒というと、すぐ肝臓の事を考える人は多い。  酒は、肝臓だけでなく、その代謝経路を介して多くの臓器に影響を与える。脳、心臓、肺、腸、骨髄、ホルモン、膵臓、肝臓、腎臓と数えるときりが無い。

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まず、頭からいくとビタミンB1の欠乏の為のウェルニッケ脳症をきたす。ビタミンB1の欠乏は心臓にも 影響を及ぼし、脚気心という拡張型心筋症をおこす。
アルコールの直接な障害として、様々な不整脈も おこす事がある。ペースメーカーが必要となる完全 房室ブロックもおこす、心房細動もあり、心不全の 原因ともなる。
肺は、アルコール性末梢神経障害やアルコール性筋症の為に胃内容物の逆流により、誤飲性肺炎をおこし易くなる。
常時(毎日)飲酒しているあなたは良くわかると思うが、排便は通常下痢に近いのではないですか?  慢性飲酒により葉酸の欠乏をきたします。その為に 腸の絨毛の細胞分裂が阻害され、腸の吸収面積が減少し、吸収障害により下痢気味になる。葉酸の欠乏は 貧血の原因にもなる。
膵炎の原因の2番目の原因は酒である。酒が肝臓に悪いのは、皆さんなんとなく判っていると思います。酒を飲んでいると中性脂肪が高くなります。その為に脂肪肝はおこり易く同時にアルコールそのものや その代謝物が肝臓に多くの悪い影響を与えます。  でも早い時点で飲酒をやめると完全に回復しない までも、改善します。
腎臓に対する作用は、腎臓そのものを悪くする事よりも腎を介しての作用が問題です。
カリウムを始め、多くの微量元素を体外に出してしまいます。逆に慢性的に酒を飲んでいると体液量が増し、血圧が10%程度上ります。急性期のアルコール中毒は別です。
この様に多くの問題がある、慢性アルコール多量 摂取をあなたは続けますか、それともこれから制酒に努めますか?

 

  • 嘔吐

     ウォエー!!と、突然ものをもどす。

    家の人は何事かと心配する。何だろう、何がおこったのだろう、と心配する。
    その後、胃や腸の病気だろうと考えて、病院を受診する事になる。確かに、急性腸炎が嘔吐の原因で ある事はたくさんある。

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でも、何かをもどす原因は、腸炎だけだろうか?
腸炎以外の嘔吐の原因を考えてみよう。
皆さんは、よく経験すると思うが、自分が、あるいは自分の子が妊娠していて、悪阻でもどす事を 知っていると思います。嘔吐には、いろんな原因があるのです。もどしている子を看る時に、同時に 悪心があるか 否かが大切です。多くの場合は  ムカムカして吐く。でも、小児の嘔吐の様に、ムカムカしなくて吐く場合があります。
例えば、幽門狭窄やイレウス等の時には、ムカムカする前に突然吐いてしまいます。
この様な消化管の病気以外にも、多くの原因で 嘔吐はおこります。
まず、
●頭の中で、脳の圧が亢進する状態(脳出血や髄膜炎等)でも、頭痛に伴って嘔吐します。
●目からもきます。くるくる廻るものをずっと見ているだけで悪心嘔吐をもようします。
●耳、メニエール等、平衡感覚の障害の時、ちょうど乗り物酔いと同じ状態で悪心嘔吐をおこします。
●腸以外の肝、胆、膵、腎の病気でも悪心嘔吐は  おこります。
●次には中毒です。最初に話した様に妊娠中毒の 嘔吐は皆様よく見ている事ですが、薬のジギタリスや喘息の薬のアミノフィリン等、薬の量が多くて嘔吐する事もあります。
●薬そのものの中毒では無いのですが、最近高齢 女性が、骨粗鬆症の治療でVitDを服用して  その為に血中のCaが上昇して嘔吐する症例が あります。

この様に、嘔吐の原因は腸の病気だけでなく内臓の問題、頭、薬物・・・いろんなものがあります。
もどした!即、腸の病気と考えず、いろんな病態があることを念頭におき、内科医に相談して下さい。口から物(食べ物や飲み物)をとれない状態そのものが脱水を引き起こし、その事が大きな問題となるからです。

 

西平医院 院長 西平守樹先生

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